代金の一部を預け入れればその数十、数百倍もの額の取引が可能になる証拠金取引。そのしくみを説明しましょう。
「証拠金取引」のしくみ
たとえば東京工業品取引所に上場されている金(東京金)の場合。2008年2月現在、1グラムあたりの価格は3000円ほど。取引単位(枚)が1キログラムなので、購入するには300万円もの資金が必要です。しかし、これでは高額すぎて参加者がごく一部に限られてしまい、彼らの思惑によって価格がゆがめられる可能性も――。
そこで商品先物取引では、あらかじめ定められた額の「証拠金」を預け入れることで、取引への参加を認めるというルール、「証拠金取引」を設定。証拠金の額は総取引金額の5%から10%程度であらかじめ定められていますが、相場の状況に応じて変更されることもあります。
東京金の場合、2008年2月時点の証拠金は12万円。ですから、「東京金を3000円で1枚買い」といった場合には、「東京工業品取引所に上場されている金を、1グラムあたり3000円で1キログラム購入。本来の代金は300万円かかるけれど、取引に必要なのは証拠金12万円のみ」。つまり、実際の取引額の5%足らずの資金での取引が可能になるのです。
その後、予想通り「金」が値上がりし、3500円になったところで「売り」注文を出したとすれば、実際の取引額300万円と350万円の差額の50万円が利益となります。支払ったのは証拠金12万円だけですから、その4倍強もの利益を手に入れることができた、というわけです。
リターンの裏には“リスク”も…
ただし、思惑がはずれた場合の損失も大きく膨らみます。
ここでもポイントとなるのが「証拠金」です。商品先物取引では、証拠金の半分まで損失が生じると、追加の証拠金「追い証」の支払いが求められます。先述した東京金の場合は12万円の半分、6万円の追い証を支払えば再び取引は続行されますが、支払わなければ、その取引は強制終了させられてしまいます。
東京金を3000円で1枚買った場合、本来の購入代金は300万円。ここから証拠金12万円の半額6万円を引いた294万円の1000分の1となる2940円まで値下がると、追い証が発生します。1000分の1とは「呼値」といわれる売買単位によるもの。新聞の相場欄などでは、実際の売買単位を縮小した呼値が用いられています。
「追い証」と聞くと、なにやら怖いイメージを抱く人がいるかもしれませんが、実はその逆。損失を余計なまでに広げないための安全策ともいえるしくみなのです。
